募集終了2020.11.16

次世代が「働きやすい」社会をつくるために。もっと安全に、誰もが働ける加工業へ

やさしい自然光が差し込み、木のぬくもりを感じられる広々としたスペース。実はこの場所は、建築資材の卸売りを行う「松井アーキメタル株式会社」舞鶴営業所の新しいオフィスなんです。


このオフィスに隣接された工場では、特殊な機械を用いて成型加工を行う専門の職人が働いています。金属屋根・外壁材に用いる特殊な機械は数少なく、京都では松井アーキメタルだけ。今回の求人は、その唯一の技術を習得できる加工職人の募集です。

働きやすさを追求し続けた15年

1948年に京都市内で創業し、金属金物をはじめとする建築資材の卸売りから金属屋根・外壁材の成型加工まで行う「松井アーキメタル」。京都(久御山)・滋賀・舞鶴に3拠点を構え、京阪神エリアの建築において欠かせない存在となっています。

創業73年を迎え、さらなる発展のために舞鶴営業所を新築移転。ここまで来るためには「並大抵の覚悟ではやれなかった」と、代表取締役社長 松井健治さんと専務取締役 松井育子さんは言います。

代表取締役社長 松井健治さん


先代の後を継ぎ、平成23年に社長に就任した健治さん。しかし、景気に大きく左右され、会社は「火の車」でした。立て直しをはかるため、元は別の仕事をしていた育子さんも会社に入り、二人で抜本的な改革を行う決意をしました。

「平成29年の京都営業所の移転もそのうちの1つです。もともと京都市内にあった営業所を、久御山町にある倉庫として使っていた場所に移しました。街のど真ん中で重く、長い資材を運ぶのは大変危険ですから、コストや安全を考えて移転を決断しました」(健治さん)

「最初は各営業所間の連携もとれておらず、言わば”個人商店の集合体”だったんです。まずは組織化することが必要だと奔走しましたが、当時は理解されず、反発したり辞めたりする人もたくさんいました」(育子さん)

専務取締役 松井育子さん

懸命に行った改革が功を奏し、会社は軌道に乗り始めます。そこで今回、かねてからの念願であった舞鶴営業所の改革に着手することを決意。舞鶴営業所は元は工場ではなく、倉庫として使っていた場所。ですから手狭なスペースに材料と機械が積み上がり、物をどかして作業しなければならないため、危険で効率の悪い作業場でした。

営業所を新しくすることを機に、どんな人も働きやすい環境にしたかったというお二人。より良い環境をつくるためにはと、他社の工場見学をした時に見た光景が、大きなヒントになりました。

「その工場で女性がいきいきと働いていたんです。その姿を見て、うちでも女性が活躍できる環境を作りたいと強く思いました。新工場には、男女別のトイレ・更衣室・休憩室を完備し、3K(暗い・汚い・きつい)と言われる要素をできる限り排除しました。また、窓から風が入り自然光が入り込むような設計にしました」(育子さん)

安全性を確保するため、搬入・搬出も考慮した広く見通しのよい通路を確保。重たく大きな材料も体に負担なく、パソコン操作にて2分間で取り出せる「立体自動倉庫」を導入することで、作業効率を追求。どんな人でも働きやすい環境を整えました。

資材をラックから取り出せる「立体自動倉庫」

「社員の意見も取り入れたかったので、男女7名のチームを作ってもらい、ワークショップを行いました。『どんな風に新しい事務所を活用しようか』と試行錯誤する中で、この場所に愛着をもってほしいと考えたからです」(健治さん)

工場の屋上には、8種類の屋根を設置。扱っている資材を用い、ショールームとしての機能も持たせた。

多様な人が働きやすい環境を整え、2020年9月に新たなスタートを切る舞鶴営業所。さらに発展していくために、今後も改革に取り組んでいきたいとお二人は話します。

「ものづくりの現場のIT化を進めていきたいと考えています。今までは『背中を見て育つ』という考えが中心の世界だったので、技術の習得に時間がかかりました。しかし、ITを取り入れることで、若手でも多くの仕事を短期間で、身につけることができます。年齢やキャリアに関係なく、活躍できる環境にしていきたいですね」(健治さん)

「勤務年数や業務内容で判断するのではなく、頑張る人を評価したいと思い、年功序列での評価体系も廃止しました。次世代には、もっと自由なアイデアで仕事に取組んでほしいと願っています」(育子さん)

会社と社員の懸け橋になりたい

次世代にとって「働きやすい環境」を整えておきたい。お二人からその想いを引き継ぎ、次の時代を担うのはお二人の娘である松井彩乃さんです。

現在、管理統括マネージャーを務める彩乃さん。もともと家業に関わる気はなく、京都市内の銀行に勤めていたそう。どんな心境の変化があり、現在に至ったのでしょうか。

「最初は、工場というだけであまりいい印象を持っていなかったんです。たまたま『人手が足らないから』と母に頼まれ、営業所の展示会を手伝うことになりました。そこで両親の仕事がどんなものなのかを、初めて理解して。素直に『いいな』と思えたんです」

その頃、松井アーキメタルは改革の真っただ中。毎日忙しく働く両親の姿をみて、自分にも何か手助けできることがあるのではと入社を決意した彩乃さん。1年間、育子さんの下で学んだ後は、京都営業所へ異動。現在は製品の受発注や経理、人事などバックオフィスを中心に幅広く仕事を担っています。

また、舞鶴の新工場内にある「立体自動倉庫」の導入を担当。事務や工場の代表者とチームをつくり、これまでの課題を考慮しシステムを構築しました。その間に、今まで見えてこなかった問題点を感じることができたそう。

システムの構築から携わった立体自動倉庫。

「やはり現場の声を本社に伝えることって、なかなか難しいのだということを感じました。私が社員さんの声に耳を傾け、現場の意見を本社に伝える役割を担うことで、風通しのよい会社にしていきたいと思っています」

仕事に興味を持つことが、技術上達の近道

つづいてお話を伺ったのは、父のすすめで松井アーキメタルに就職した油谷紀彦さん。今年で勤続23年目となり、舞鶴営業所の所長代理兼、生産管理責任者を務めています。金属屋根・外壁材の成型加工とは、どのような仕事なのかを教えていただきました。

「鉄板の平板を特殊な機械に入れ、お客様のオーダーに合わせて多種多様な長さや形に加工を施します。運搬できないぐらいの長さのものは『現場成型』と言う、現場で加工する業務もあります。どの仕事でもそうだと思うのですが、一人前になるには3年ぐらいかかりますね。その時々で変わる現場の状況に合わせて、全部自分で判断していかなあかん。現場は時間との勝負、腕の見せ所です」

しかし大変な仕事だからこそ、やりがいもあるのだと油谷さんは言います。

「屋根にはいろんな形があって、かなり難しい加工もある。最初は『こんなん無理や』とぼやきながらも、みんなで完成させる。そのうちにお客様から『松井さんになら頼める』と信頼を得ることができるんです。『できない』ではなく、どうやって応えようかとすることで技術は上がっていく。完成した建物をみた時の達成感は、何物にも代えがたいですね」

自分の習得した技術でつくりあげた製品が、建物の一部となる。高度な技術力も必要ですがまずは「仕事に興味をもつ」ことが大切だそう。

「この仕事は決まったことをする仕事ではないんです。その日によって取組む内容も違うし、年々機械も進化しています。現場でも、臨機応変に対応する場面がたくさんあります。だから色んなアイデアや視点を持って、どんなことにでも興味を示せる方にとっては、面白い仕事だと思います。そういう方は僕たちも教えがいがありますね」

現在は次世代のリーダーとして、舞鶴営業所全体を統括する油谷さん。長年、ご自身も職人としてキャリアを積んできました。移り変わる時代の中で、仕事の取り組み方にも変化を感じているそうです。

「それまでは来るもの拒まずで、どんどん仕事をとっていました。ありがたいことにお客様が増えて、仕事も増えていったんですけれど、仕事の時間がの延びて帰りが遅くなってしまう。だから残業を減らすために、納期やスケジュールを管理できる進行表を作って、一日にどれだけの仕事ができるかを割り振るようにしました。どんな人も長く働ける仕事にしていかな、と思っているんです」

油谷さんの言葉から「後につづく人」がいるからこそ、技術は未来に継承されていくものなのだと改めて気づくことができました。次にお話を伺ったのは、先輩から技術を受け継ぐ、女性職人さんです。

女性が活躍するものづくりの現場

松井アーキメタルには2人の女性職人さんがいます。女性が数少ないこの仕事を、なぜ選んだのでしょうか。入社2年目になる山下亜衣さんにお話を伺いました。

前職は事務職についていた山下さん。身体を動かす仕事につきたいと仕事を探していた時に、松井アーキメタルの求人広告を見つけました。「女性が活躍できる仕事です!」と書かれた言葉に背中を押され、応募を決意しました。

「入社するまでは、屋根=瓦のイメージだったんですが、金属の屋根もあるんだなぁと興味をもって。そこから街でも、気づいたら屋根を見るようになりました(笑)。最初は不安だったんですが、会社見学の時にみんなが私に挨拶してくれて。ここなら大丈夫じゃないかなと思えたんです」

入社したすぐは、機械から出てきた金属板を受け取り、配送準備を行うことからスタート。2年経った現在は、ベンダーという大きな機械を使って金属を加工する仕事に携わっています。力仕事も多く、大変なことも多いのではとお聞きすると、「みんながカバーしてくれるから大丈夫ですよ」と山下さん。重たいものは率先して運んでくれたり、できないことはしっかりと教えてくれる体制が整っているそう。

厚いゴム手袋をはめるため、ネイルも楽しめる。現場のおじさま達にも「かわいい爪やなぁ」とほめられるそう。

「暑い、寒いなど環境面では働きにくいと考える人もいると思うんですけど、みんながやさしくて、私にとっては働きやすい環境です。ぶつかることもあるけど、それははっきり意見が言える間柄だから。誰か1人だけが指導するんじゃなくて、みんなで成長を見守ってくれている感じですね。必要な資格も働きながらとることができます。資格をとると、現場で得た知識に勉強した知識が加わって『どのようなことに気をつければいいのか』『それはなぜなのか』が明確になります」

今年の8月には後輩の女性職人も入社し、先輩となった山下さん。これから挑戦したいことをお聞きしました。

「今は工場での成型がメインですが、資格を取得して現場成型ができるようになりたいです。今まで以上に知識も、現場での判断力も必要になってくると思いますが、責任ある仕事を任されるような人になりたいですね」

舞鶴がより良いまちになるように

自分達の次の世代にとって「働きやすい環境」を整えておきたい。その思いから舞鶴営業所をリニューアルした松井アーキメタル。リニューアルに際し、「舞鶴をより良いまちにしたい」という思いもあったそうです。

「機能性だけを重視せず、木を基調にしたおしゃれなオフィスにしたのも、最新のシステムを導入した工場を建てたのも、私たちの会社が舞鶴発展のきっかけになればという思いからです。だから普通の工場を建てたくなかった。舞鶴が発展し、たくさんの企業がこのまちに来たら働く場所が増え、人も増えます。舞鶴は元々軍港だった歴史もある場所ですので、まだまだそのポテンシャルを発揮できると思うんです」(育子さん)

「舞鶴のまちおこしに取組んでいる若い人たちとつながりをもち、協力していけたらと思っています。地元の高校生が舞鶴で就職できるように、ゆくゆくは受け入れも考えています。舞鶴で働く人が増えてより良いまちになることで、舞鶴も私たちも発展していけたらうれしいですね」(健治さん)

取材中に、働く女性職人さんの姿を見かけ、その素敵な笑顔に思わず足がとまりました。その表情を見て、本当の意味での「働きやすさ」は制度やオフィスだけではなく、親が子を、先輩が後輩を、周囲の人をサポートしたいと「人を思いやる気持ち」がつくりあげるものなのだと感じました。

働きやすさを長年追求してきた、松井アーキメタル。新工場になっても、これまで受け継がれてきた思いやりの連鎖は絶えることなく、これからもっと舞鶴のまちに働く人の笑顔が増えていくのでしょう。

※本記事はBeyond Career事業にて受注・掲載した求人記事となります。Beyond Careerについてはこちら

執筆:ミカミ ユカリ
撮影:dai yoshioka

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